柳沼(成宮寛貴)に本名などを知られたものの、洋子(菅野美穂)は房子(和久井映見)のアドバイスで片岡(玉置浩二)の家にいることになる。柳沼は洋子に思いを寄せていたが、洋子は彼に興味はなかった。片岡は洋子が家にいることのうれしさを秀子(岸田今日子)に語る。ある晩、片岡は洋子を飲みに誘い、酔った彼女を背負って帰宅する。片岡の優しさを知った洋子は食費ぐらいは家に入れようと、房子の働くファミリーレストランでアルバイトを始める。やがて隅田署の刑事課の応援要請で、片岡が犯人逮捕に出動。房子から事情を聴いた洋子は、落ち着かない様子で片岡の無事を祈る。
goo テレビ番組ナビ より
温泉旅行から戻った洋子(菅野美穂)たち。
洋子は、柳沼(成宮寛貴)に自分の過去を知られてしまったようだと
房子(和久井映見)に相談する。
あのあと、柳沼は洋子を抱きしめ、
「僕が守ります。
愛さんは、僕が守りますから。」と言ったのだ。
「えーーーっ。なにそれー。すごい!
なんで?ずるい!」
「いやあの、そういうこと言ってるんじゃなくってさ。」
「え?ちょっと待って。てことは、じゃあ、あのあと・・・」
=石和温泉=
並んで歩く柳沼と洋子に声をかける房子。
「どうしたの?今来たの?」
「あ、はい。そしたら、偶然、愛さんと会って。」
「そうなんだ。じゃあさ、早く温泉入りなよ。気持ちいよ。
それでさ、一緒に朝ごはん食べよう。みんなで、旅館の朝ごはん。
いいよね〜、あれね。」上機嫌で話しまくる房子。
「思いっきりマヌケじゃん、あの時の私。
まるっきりバカじゃん。
なんか納得できないーっていうか、
そのときの空気に気付かなかった自分が許せない!」
「はーあ。」洋子は話の重要なところが伝わらずにため息。
「あ!!え!?
大変じゃない!
柳沼君は、知ってしまったってことなんでしょう?」
「だから、そうだって言ってんじゃないよ。最初から。」
「ちょっと待って。整理してみよう。ね。
愛ちゃんの本当の名前は松田洋子である。
そしてあなたの記憶喪失は、嘘である。
ざっくり言うとこういうことよね。初期設定は。」
「はい。すいません。」
「いいのいいの。
でもって、柳沼君は、愛ちゃんが、本当は松田洋子であることを
知ってしまった。
でも、記憶喪失が嘘であることは知らない。
そして過去を知った上で、敢えてあなたを、愛ちゃんと呼んだ。
これはつまり、そのことは言わないつもりなのよね、彼は。」
「そうだよね。」
「なるほど。・・・で、片岡さんは?」
「いやあ・・・。」
「何も気付いてないでしょう。」
「うん。多分。」
「多分?」
「わかんないけどさぁ。
あの人の笑っている顔を見ると、嘘だって、気付いてるんじゃないかなーって
思うことがあるんだよね。何もかも気付いているんじゃないかってね。」
「へー。本当に?」
「うん。何となく、だけどね。
でもまあさ、気付いてたら怒るだろうし。
私をここに置いておく理由もないわけだからさ。
「そんなこともないと思うけど。
ま、いっか。
じゃあとりあえず片岡さんは何も知らないと、
いうことにしとくか。
「しとくかって。」
「あと、登場人物は・・・いないか。
あー、いた!
でも何も知らないか圏外っていう感じだしねー。」
「あーそうね。圏外!」
「てことはあれだ、全部知ってるのは、私だけだ。
なんか嬉しい!偉い気がする。」
「あの。そろそろ本題に入りませんか?」
「何だっけ?」
「いや、だからさー。どうしようって話でしょう?」
「わかってる。わかってる、わかってる。
で、どうしたいの?あいちゃんは。」
「え?・・・いや・・・だから・・・。」
「このままでいたいんでしょう、出来るなら。
いいと思うけどなー、先延ばしにしても、結果は。
柳沼君が黙っていようとしてくれているならさー。
それに乗っかっちゃいなよ。
いいと思うな、私は。」
「そうか・・なぁ・・・。」
「本当のこと話す?嫌なんでしょ?」
「・・・」
「じゃあそうしよう!
私だけがぜーんぶ知ってるって言うていうのも何か楽しいしね。」
「あ、そう。」
「はー。何かお腹空いた。なんか食べに行かない?」
商店街をたい焼きを頬張りながら歩く二人。
「でもさー。柳沼君、何で黙っていようと思ったんだろうね。」
「さぁ。本当の私があまりにも悲惨なんで、戻すのが可哀想とか
思ったんじゃないの?」
「そっかあ。柳沼君好きなんだね、愛ちゃんのこと。」
「はあ!?関係ないし。ていうか、興味ないし。」
「よしな!そういう言い方するの。
自分のことをさ、好きだって思ってくれるのって、すごいことだよ。
あ、それともひょっとして片岡さん!?」
「はぁ?考えたことないし。」
「でも私が愛ちゃんだったら、好きになっちゃうけどな、片岡さんのこと。
うん!男として。」
「えぇ?」
「いいと思うけどなー。柳沼君もフリーになるし。」
「は。つーか何で誰かとくっつかなきゃなんないのよ。
あのさ、あんた恋愛ドラマとか好きでしょう!」
「あ、好き。わかる?話す?ドラマについて。
語るよー、私。」
「・・・いい。」
そこへ、偶然飯塚(小日向文世)が歩いてきた。
「あれー!」ニコニコ笑いながら手を振りやって来る。
「あ、圏外。」
「え?なに?何かわかんないけど、あまりいい意味じゃなさそうだなー。
そうでしょ。参ったなぁ。」
二人は手を振りながら飯塚から離れていった。
「本当に、そうなんだ・・・。」飯塚が呟いた。
片岡優二(玉置浩二)は医者の秀子(岸田今日子)に温泉旅行の思い出を
嬉しそうに語る。
「愛ちゃんがね、言ってくれたんだ。
子供達、きっと、俺と行った旅行のこと、楽しかったこと、
忘れないと思うってさ、言ってくれたんだ。
嬉しかったなー。」
「ずっといるの?彼女。」
「うん。まあね。イイコだよ。
ちょっと、口が悪いし、素直じゃないけどさ。
でも本当は、心が細くて、弱くて、寂しがりやでさ、
そんな感じかな。」
「あなたの奥さんと逆ね。」
「香里?」
「香里さんね、いつもニコニコして穏やかだったけど、芯が強かった。
心が強かった。
最後まで、自分より、あなたたちのことを考えていた。」
「そうだったね。」
「それって、愛する人がいるってことと、愛されてるっていう自信だと
思うの。それが人を強くするのよ。
だから、あなたもずいぶん救われた。
そういう風になってくれるといいわね、彼女も。」
「いやぁ。先生上手いこと言うね。」
「年の功って言ったら怒るわよ。」
「はい。」二人が笑った。
優二が署に戻ると、柳沼が話しかける。
「あの・・・先輩。愛さんのことなんですけど。」
「どうした、愛ちゃん。あ、何かわかったか?」
「あ、いや。
あの・・・俺・・・
俺・・・彼女が好きです。
それだけです。じゃあ。」
そう言い立ち去る柳沼の後姿を、優二は寂しげな表情で見送った。
洋子は房子に言われたせいもあり、優二のことを意識してしまう。
子供達は友達の家にお泊りでいない。
「あ。」優二が言う。
「え?」
「じゃあ・・・今夜、愛ちゃんと二人か。」
「え!?」
「え!?」
見つめ合う二人・・・。
子供達がいないことで、いつもと違う家の空気。
二人の会話もどこかよそよそしい。
「あのさ、愛ちゃん。」
「はい。」
「お酒など飲みに行くっていうのはいかがでしょうか?」
「え?」
「あ、やめとく?」
「・・・」
「やめとくか。」
「行く。」
「え?」
洋子は優二たちが止めるのも聞かずに酒を飲み続ける。
「ねぇ、亡くなった奥さんさ、お酒飲んだ?」
「いや、全然。」
「だろうな・・・。」
「ん?」
「私とは全然似てない、正反対だって、言ってた。
あの・・・ほら・・・房子さん。」
「そんなこと言ってた?
うん。似てないな。正反対かもな。」
「どうせ。」
「なんだい、それ。」
「あのさ!何でそんなに笑ってんの?バカみたいに。」
「そぉ?」
「そうじゃないよ。鏡見てみな?
今時ね、そんな笑顔ばっかじゃ、アイドルだって売れないよ。
ね、ふふ。なんで?」
「何でって、ねえ。」
「ちょっとぉ、黙ってないであんたもなんか言ってよー。」店主にまで絡む洋子。
店主が何か言おうとするが、お構いなしに洋子が続ける。
「大体さ!だいたいさぁ、なんで、私にそんなに優しくすんのよ。
何で?え?」
「うん。・・・それはさ、」
次の瞬間、洋子は眠ってしまっていた。
優二が笑顔で彼女の寝顔を見つめる。
酔った洋子を背負って帰宅する優二。
優二はソファーにそっと洋子を降ろして寝かせた。
「何でやさしくすんのよー。」洋子が寝言を言う。
洋子の頭の下にある自分の腕を抜こうとすると、洋子が腕を掴んで離さない。
朝。
結局そのままの姿勢で眠った優二。
目覚めた洋子は自分の隣で座った姿勢で眠る優二を見つめて微笑む。
優二の起きる気配に慌てて寝た振りをする洋子。
しびれた腕に「痛い。」と言う優二に、洋子が今起きたような素振りで
飛び起きる。
「おはよう。」
「おはよう、ございます。
あれ・・・そういえば、昨日・・・」
「うん。よく飲んだねー。」
「あ、何か、酷いこと・・・」
「言った言った。すごかった。」優二が笑う。
「え?」
「嘘だよー。」
時計を見て慌てる洋子。
「しまった!今日から仕事だったのに!」
洋子は、房子の働くファミリーレストランでアルバイトを始める。
「食費ぐらいは入れようと思って。」と言う洋子に、
「偉い偉い」と房子は優二のように頭を撫でる。
「あのね。」
「口の利き方に気をつけてね。先輩だからね。
じゃ、ついといで。色々教えてあげるから!」
「・・・はい。」
職場で元気のない飯塚が優二に尋ねる。
「ねーねー。
女の人がさ、男の人を、あの人は圏外ね、って言う場合、
圏外ってどういう意味?」
優二にはさっぱりわからなかったが、同僚の女性が
「問題外。恋愛の対象外っていう意味じゃないんですか?」と教えてくれた。
「あー。」ますます落ち込む飯塚。
その頃柳沼は婦人警官に最初のデートにどんな所に行きたいのか聞いてみる。
「やっぱり最初は、食事とかかな。
それも、あまり高かったり気取ったりするお店じゃない方がいいかな。
そういう、お金がかかった所を好きな人もいる、かもしれないんだけど、
私はもうぜんっぜんそういうのないんで。」
「そうか。気取らない店か。」柳沼がメモする。
「でも、あんまり庶民的過ぎるのも。キタナイまでいっちゃうと・・・。
ちょっといい感じ、みたいな。」
「うんうん。そっか。わかった。ありがとう。がんばってみるよ。」
「え!?」
自分の好みの店を言う彼女だが、相手が自分でないと知りがっかり。
ファミレスで食事をする家族連れの姿を寂しそうに見る洋子。
そこへ優二が子供達を連れてやって来た。房子が呼んだのだ。
4人はパフェを注文する。
厨房でパフェを作る房子に洋子が言う。
「あの・・・先輩。」
「何だね、後輩。」
「やらせてもらっちゃ、ダメですか?」
「あ・・・いいよ。作ってあげたいんだ。」
洋子が頷く。
「いやーん。かーわいい!」
「うるっさいな。・・・うるっさいっすよ、先輩。」
パフェの器にアイスクリームを沢山乗せ、特製パフェを作りながら
洋子は子供の頃のことを思い出していた。
それは、母の誕生日。
母が喜ぶ顔を見たくて、特製パフェを作った洋子。
ハッピーバースデーと書いたチョコレートも乗せた。
だが母・葵(芳本美代子)は見向きもせず、男と出かけてしまった。
「うわぁ、すっごーーーい!!」
子供達も優二も、洋子のパフェに大喜び。
「いっただっきまーす!」
「おいしい!」「おいしい!」「おいしい!」
「美味いよ、愛ちゃん、これ!」
みんなの言葉に洋子の頬が緩む。
慌てて笑顔を隠しテーブルを離れ、そして嬉しそうに微笑んだ。
仕事を終え、疲れた足を引きずりながら歩いていると、飯塚が走ってきた。
「遅かった・・・。」
「え?」
「愛さんのファミレス姿、見たかったし。」
「は?」
房子が「柳沼君、好きなんだね、愛ちゃんのことを。」と言ってたことを
思い出す。
「あの。」
愛は柳沼に誘われて一緒に行った蕎麦屋の電話から、少し遅くなると
片山家に電話。
子供達のがっかりする様子が電話口に伝わってくる。
「あのさ、愛ちゃん。いいやつだよ、柳沼は。
とってもいいやつだ。」
優二にそう言われ、洋子は複雑な表情で受話器をおいた。
振り返ると、柳沼が笑顔で自分を見つめている。
「あのさ、なんで?」
「何でって、何がですか?」柳沼が聞き返す。
「何か話があるんでしょ?」
「あ・・・いや。
とくに、話はないんですけど。
あ・・・だめ・・・ですか、それじゃ。」
「そうじゃなくって・・・。
私の過去のことだけど。」
「はい。」
「何か、わかったのかなーと思って。」
「いや・・・何も。」
洋子は柳沼の嘘に驚く。
「なかなか、難しいですね。
あ、すみません。」
柳沼に頭を下げられ、恐縮する洋子。
「食べましょう?」
「ちょっと待って。じゃあ何で?」
「ああ・・・。一緒にメシ食いたかっただけです。
つまり・・・デートのつもりです。
僕、愛さんのこと、好きです。」
「・・・・」
「好きなんです。」
「ふーん。優しいんだね。」
「え?」
「どいつもこいつも、優しいねー。
あのさ、頑張って女を好きになる必要なんてないよ。」
「え?どういう意味?」
「無理してるって。好きになるべきなんだ、とか思ってるでしょ。
正義感とかいうやつ。」
「いや、そんなこと。」
「だって眉間にシワ寄ってるよ。」
自分の眉間に触れてみると確かに皺が寄っている。
優二は妻の写真に報告する。
「デートだってさ。デート。」
そして遠くを見つめ、「デートか・・・。」と呟いた。
帰り道、柳沼は洋子に言う。
「あの・・・違います。さっきの、違いますから。」
「何が?」
「これ。単なる、癖ですから。」自分の眉間を指差して柳沼がそう言う。
「癖です。本当に、愛さんのことが好きなんです。
なんか・・・なんか、よくわかんないけど、好きなんです。」
柳沼はそう言い洋子に歩み寄り、キスしようとする。それを交わす洋子。
「あ・・・。ごめんなさい。
敬語・・・止めていいですか?」
「え?」
「敬語、やめていい?」
洋子が頷く。
「良かった。おやすみなさい。
あぁ・・・。おやすみ。」
洋子はまた頷いて返事をした。
「お帰り。早かったな。
楽しかった?」家に帰ると優二が洋子にそう聞いた。
「別に。」怒ったように答える洋子。
ソファーにどっかりと腰を降ろし、腕組みをして考える。
すると犬のミルクがクンクン鼻を鳴らして洋子を見つめる。
「何よ。」洋子がミルクにそう言い、また考え込んだ。
バイト先で怒ったように食器を片付ける洋子。
「もしもし。」房子が声をかける。
「何。」
「何でそんな不機嫌な顔してんの?」
「こういう顔なんです、もともと。」
「あ、そうか。そうだった、そうだった。」房子はそう言い仕事に戻る。
隅田署の刑事課の動きが慌しい。いつも穏やかな優二の目が厳しくなる。
柳沼と飯塚に、脱走犯を追うよう指示が出る。
優二は刑事課を気にしながらも、自分が今パソコンで作成している
『ファミリーコンサートのお知らせ』に視線を戻す。
「片岡君。
人手不足なんだって。応援、頼めるかしら?」
上司に言われ、優二は同僚の女性達が見守る中、厳しい表情で部屋を出ていく。
柳沼と飯塚の車の後部座席に乗り込む優二。
飯塚は驚き、柳沼はまた優二と事件を追えることに微笑み、状況を説明する。
「脱走犯なんですが、付き合っていた女性が通報したのが逮捕のきっかけ
らしく、逆恨みして何かするんじゃないかと。」
「わかった。行こう!」
房子が優二からの伝言を洋子に伝える。
「片岡さんからなんだけど、事件あって応援に行かなきゃならないから、
今日遅くなるからって。愛ちゃんに伝えてって。」
「事件?」
「うん。脱走犯が立ち寄りそうなところの張り込みだって。」
「脱走犯!?」
「うん。そうだって。」
「・・・大丈夫、なの?」
「大丈夫だよ。なんか刑事課だった頃に声が戻ってた。
もともと普段は穏やかだけど、事件となるとね。」
「へぇ・・・。」
「怖いものなしって感じだったし、危険でも突っ込んでくるからさ。」
房子が仕事に戻っても、洋子はしばらくそこから動けなかった。
車の中からターゲットのアパートをじっと見つめる優二。
「飯塚。心配するな。大丈夫だよ。」
仲間を気遣う優二。
柳沼はそんな優二を頼もしそうにバックミラーから見ていた。
房子を交えての片岡家の夕食。洋子は優二のことが気になって仕方がない。
「お父さんなら、大丈夫ですよ、絶対。」長男・大(佐藤和也)が言う。
「へー。いや別に、心配なんかしてないけど。」
「まぁ愛ちゃん以外はみんな慣れてるからね。
普通で考えたら、怖いよね。」と房子。
「お父さん、もう悪いやつは捕まえにいかないって。
もう危ないことはしないって言ったのに。」亜希(山内菜々)が言う。
「大丈夫だよ。父さんは絶対大丈夫。」
子供達も房子も、黙り込む。
宅配便の業者らしき男がきょろきょろしながらアパートの2階へ向っていく。
3人に緊張が走る。
その男の様子を凝視する中、優二がミラーに映る男の姿に気づく。
その男はじっとアパートの一室を見つめ、そして歩き出す。
手配書とその男の姿を照らし合せ、優二が車から飛び出した!
「どうしました?」「片岡!」何があったのかわからない二人。
「蓑田!蓑田、止まれ!」
優二に呼び止められ慌てる犯人。振り返ると後ろには柳沼と飯塚が。
追いつめられた犯人は、胸ポケットからナイフを取り出し振りかざす。
「蓑田。ナイフ捨てろ!ナイフ捨てろ!」
犯人がナイフを向けて優二に跳びかかる。
優二はそれを交わし、柳沼たちに向う犯人を後ろから押さえつけ、投げ飛ばす。
だが犯人は諦めず、再び優二にナイフを向け・・・。
『強盗殺人事件の容疑者・蓑田勝容疑者が再逮捕されました。
逮捕の際、墨田警察署の刑事1名負傷した模様。
詳細については不明。』
洋子たちはテレビのニュースに凍りつく。
「お父さんじゃないよね・・・。」と亜希。
房子は優二の携帯に電話をしてみるが、つながらなかった。
洋子は、いても立ってもいられず、家を飛び出した。
全速力で走り続ける洋子。
途中、転んで膝をすりむいたが、痛みをこらえて再び走り出す。
頭を撫でてくれた優二の笑顔。
君はいい子だと言ってくれた時の笑顔。
腕枕してくれた時の寝顔。
「やだから・・・。やだからね・・・。」
洋子は泣きながら、現場のアパートへ向った。
「すみません。あの・・・負傷した刑事は?」
現場にいた刑事に聞き、洋子は東京臨海警察病院に駆けつける。
待合室に柳沼の姿を見つけて駆け寄る洋子。
柳沼は洋子が病室を見つめる表情に、驚く。
病室から、優二が出てきた。
優二の全身を目で確認し、怪我をしていないことに、ほっとする洋子。
「愛ちゃん。」
「・・・」
そこへ飯塚が病室から出てきた。額に少し怪我をしている。
「愛ちゃん。何、心配してきてくれたの?
バカだなぁ。俺、大丈夫に決まってんじゃないかよー。」
優二の笑顔に洋子は腹を立てる。
「誰が心配なんか。
何ニヤニヤ笑ってんの!?
バカじゃないの!?」
泣きそうな顔でそう言い、洋子は病院から走り出した。
橋の上までやって来ると、足の痛みにその場に座り込む洋子。
「逆ギレだよ、あれじゃ。
・・・最低だ・・・。」と呟く。
そこへ、優二が追いかけてきた。
「ごめん。さっきはごめんね、愛ちゃん。
ごめんね。」
「・・・」
「嬉しかったよ。嬉しかった。
ありがとう。」
洋子は優二の顔を見上げる。
優二が洋子の怪我に気付く。
「あ、どうした?痛そうだな。ちょっと待って。」
ポケットから絆創膏を取り出す優二。
「用意いいだろ。警務課でさ、しょっちゅう、指切るから。」
洋子は、そう言い絆創膏を貼ってくれる優二の顔を見つめていた。
「大丈夫?」
優二に言われ、洋子は優二の顔を見つめたまま頷いた。
優二が立ち上がると、洋子も立とうとする。
その時、よろけた洋子を優二が抱きとめる。
洋子は優二の腕にそっとつかまり、二人は暫く寄り添った。
「帰る。」洋子の言葉に「うん。」と答え、洋子から体を離す優二。
洋子が家へと向う背中を、優二はしばらく見つめていた。
洋子はふと足を止め、後ろをためらうようにゆっくりと振り返る。
優二が真剣な表情で自分を見つめていた。
洋子は戸惑い、そしてまた歩き出した。
「もう嘘つくのキツイなー。」ため息混じりにそう呟く洋子。
「好きになってるじゃん・・・。私・・・。」
優二は洋子の姿が見えなくなっても、その方向をただ見つめていた。
ストーリーのコンテンツ作成に当たり、ちーずさんが管理人をなさっている「どらま ・のーと」さんから部分的に(というよりも99%位)引用をさせていただきました。ほとんど完全なドラマの進行を作成・公開いただいたことに対し、ファンの一人として心からお礼申し上げます。