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第6話「さよなら・・・幸せをくれた家」

あらすじ

うそをつき続けることに耐えきれなくなった洋子(菅野美穂)は、ついに片岡(玉置浩二)、柳沼(成宮寛貴)らにすべてを告白。既に真実を知っていた柳沼や房子(和久井映見)は困惑するが、片岡は何となく気付いていたと答える。翌日、洋子は感謝の気持ちを込めて家を掃除し、置き手紙を残して片岡家を去る。子供たちや柳沼、房子は寂しがるが、片岡は洋子に特別な気持ちを抱き始めた自分に気付き、あえて捜そうとしない。片岡は自分が病気で余命6カ月のため、洋子を連れ戻しても無責任になると思っていた。そんな折、洋子が隅田署近くのレストランで無銭飲食をして通報される。

goo テレビ番組ナビ より

詳細

土手に腰を降ろしコンビニ弁当を食べる洋子(菅野美穂)と房子(和久井映見)。

洋子が青空を見上げて言う。

「気持ちいね。」

「うん。

 ・・ん?」

「美味しい!」お弁当を口に運んだ洋子が言う。

「ん?ん??」

「なに?」

「なんか、愛ちゃん変わったね。」

「は?何が?」

「だって、美味しいとか、気持ちい、とか、言う人じゃなかったじゃん。」

「はぁ?そんなこと言った?今。」

「言った言った!

 風が気持ちイー!空は何で青いんだろう。オーイ雲よ君はどこへ行くんだー!」

「そんなこと言わないわよ。」

「幸せだってことだよ、愛ちゃんが、今。

 そういうさ、普通の暮らしの中の小さなこと、

 いい天気だなーとか、空がきれいだなーとか、

 そういうことをさ、感じていられればさ、

 幸せなんだよーって、私は思うな。」

「・・・ふーん。

 言われてみれば、全然考えたこともなかったな、そういうのって。」

「好きなんでしょ。片岡さんのこと。」

「え!?えぇ!?」

「隠してもダメだよ、私にはわかる!そうなんでしょ?」

「・・・」自分の優二(玉置浩二)への思いを考える洋子。

「どうなの?」

「わかんない。よくわかんない。」

「そっか。」

洋子が頷く。

「嬉しいな。正直な気持ち言ってくれて。」房子が洋子にそう言った。


=刑事課=

柳沼(成宮寛貴)は優二を見つめながら、病院に駆けつけたt時の

優二を心配する洋子を思い出し、ため息をついた。

ふと、自分の眉間にシワが寄っていることに気付き

洋子に指摘されたことを思い出し、普通の顔に戻そうとする。

=片岡家=

リビングから聞こえてくる大(佐藤和也)、亜希(山内菜々)、隼(渡邉奏人)、

そして優二のにぎやかな声。

洋子がこっそり覗いてみると、みんなでゲームをして遊んでいる。

「愛ちゃんも一緒にやろうよー!」亜希と隼が洋子の手を引く。

「いやいや、私はいいよ。」

「愛ちゃん、やろうよ一緒に。」子供に促された優二が洋子の手を取る。

洋子はびっくりして、その手を引っ込める。

「あ、ごめん!」

首を横に振る洋子。

「あ、あのさ。」優二が洋子に聞く。

「はい。」

「明日休みなんでしょ?」

「はい。」

「なぁ、明日さ、みんなでどっか行こうか?」子供達の方を向き、そう言う優二。

「やったぁ!」「どっか!どっか!どっか!どっか!」

子供達は大騒ぎ。

「どっか・・・」子供達の歓声に頷きなが洋子が呟いた。

青空の広がる下、5人が向った先は公園。

みんながレジャーシートを広げている間、洋子は公園で遊ぶ家族連れを見渡す。

どの家族も幸せそうに笑っている。

亜希に言われ、お弁当を広げる洋子。

「私は、幸せだった。

 幸せなのに、居心地が悪くて、

 怖くて怖くて仕方がなかった。

 自分がずっと、幸せでいれるはずがない。 

 すぐ壊れるんだ、どうせ。

 そして、自分でもよくわからない、

 不思議な感情を抱いていた。」

房子と柳沼が差し入れを手にやって来た。

ぼーっと突っ立ている洋子に、「どうした?」と房子が声をかける。

「いや・・・なんか、いいね、こういうの。」

「愛ちゃん、おいで。座んな。食べよう!」

優二に促されレジャーシートの上に座る洋子。

「あ・・・」

「今度は何?」房子が聞く。

「いや、なんか・・・私が言うのも変なんだけど・・・

 一人忘れてるような・・・。」

「・・・あ!!」

その頃、その忘れられた人物・飯塚(小日向文世)は中華屋のカウンターに

いた。

『太陽に吠えろ!』の着メロが鳴り、電話に出る飯塚。

房子からの誘いに、

「行く行く!すぐ行く!」と即答。

ラーメンをキャンセルしようと顔を上げると、カウンターにラーメンを置いた

店主が睨んでいる。

「・・・いただきます・・・。

 親指入ったな、今。

 ・・・あ、じゃ、チャーハン止めておこうかな。」

出来上がったチャーハンを飯塚の前にドンと置く店主。

「・・・大盛りだろ、これ・・・。」

飯塚、大急ぎで食べ始める。

その頃洋子は亜希に教えてもらいながら花の首飾りを作っていた。

「違うよ、愛ちゃん。」

「・・・すいません。」

「ねぇ愛ちゃん!」房子が目配せする。

「あ!その顔の時、あんまり聞きたくない。」

「今幸せ噛みしめてるでしょう?」

「・・・うるっさいな。あ!」花を上手く結べない洋子。

「ダメじゃーん。」と亜希。

「すいません!」

「隼、こっちー!」

「お父さん、こっちこっち!」

優二と隼、大がサッカーボールで遊ぶ姿を見つめる洋子は、

子供の頃、アパートの前でボールを蹴って遊ぶ親子連れを

ぼーっと見ていた自分を思い出す。

幼い洋子の前にボールが転がってきた。

「すいませーん!」親子連れが洋子に向って手を挙げる。

洋子はすくっと立ち上がり、ボールを思いっきり、

別の方向へ蹴った。

そして、ぷいっと横を向いたのだった。

寂しい過去を思い出す洋子の悲しげな表情を、優二が心配そうに見つめていた。

そして優二が洋子を見ている様子を、柳沼が見ていた。

洋子の足元に、別の家族のボールが転がってきた。

「すいませーん!」親子連れが自分に向って手を挙げている。

ボールを拾い上げた洋子は少しためらったあと、

「行くよー!」と大声で答える。

その声の大きさに、房子や優二たちも驚く。

洋子は思いっきりボールを家族に向けて蹴った。

・・・が、ボールは違う方向へ飛んでいってしまう。

そこへ飯塚が通りかかり、ボールをキャッチ!

みんなも思わず拍手!

気を良くした飯塚は「よし、行くぞー!」とボールを蹴ろうとする。

「それうちのボールだよー!」持ち主の子供の声に

「はーい。」飯塚がボールを返しに走った。

洋子は楽しそうに笑い、そして抜けるような青空を見上げた。

「きれい・・・。

 いつか、この幸せが壊れてしまうのなら、

 自分から壊して逃げてしまいたい。

 そんな気持ちが、抑えられないでいた。」



公園のあと片岡家に集まる一同。

「愛ちゃん、なんか明るくなったよね。」飯塚が洋子に言う。

「そう?」洋子が微笑みながら返事をする。

「ほんと良かったよね、この家に来て。

 きっとさ、まぁ、思い出せないんだろうけど、

 君さ、いろいろ、あったのかもしれないけど、

 そういう子だったんじゃないのかなぁ。ねぇ。明るいさ!」

洋子の事情を知らない飯塚の発言を、ハラハラしながら見守る

優二・房子・柳沼。

黙ったままの洋子に

「あ、ごめん。何か余計なこと・・・」と飯塚。

「ううん、違う。飯塚さんは悪くない。悪くないから、全然。気にしないで。」

「良かった・・・。」

「あー、今日は楽しかったー。

 ・・・楽しかったー!

 私さ、生まれて初めて。あーいうの。」

「え!?生まれて初めてって、覚えてんの?えぇ!?」大騒ぎする飯塚。

「・・・ごめんなさい。」

「愛ちゃん?」房子が気遣う。

「もういいの。愛ちゃんは終わり。

 ・・・嘘なの。

 嘘なんです。」

「嘘?」と飯塚。

「嘘って・・・」柳沼も始めて知ったような振りをする。

「全部嘘。

 記憶喪失も初めから嘘。全くの嘘。」

「え?どういうこと?」

「知ってるんだよね、本当の私のこと。」洋子は柳沼に言う。

「あ・・・。

 松田・・・洋子さん。」

柳沼の言葉に洋子が頷く。

「あ・・・知ってました。でもね、」と柳沼。

「本当の私があまりにも可哀想なんで、黙っててくれたんでしょ?」

「でも、」

「ごめんなさい。」

「へー。洋子ちゃんっていんだ。」と優二。

「ちょっと待って!房子ちゃん?」と飯塚。

「ごめん!私は全部、知ってました。」房子が手を合わせて謝る。

「えぇぇ!?片岡は?何でそんな、驚かないんだよ。

 知ってたのか?」

「いや、知りはしなかったけどさ、なんとなくね。

 初めはさ、初めは本当にそうだと思ってたよ。

 でも、一緒に暮らし始めて、すぐかな。なんとなくね。嘘なのかなって。」

「じゃあ、何で?」柳沼が聞く。

「いいかなって思ったんだよ。別に。嘘でもさ。

 いいかなって思ったんだ。」

「えーーーーー!?

 じゃあ何?俺だけ?何も知らなかったの!」

「ごめんなさい、本当に。すいませんでした。」

洋子はそう言うと、4人に深く頭を下げた。

優二は微笑みを浮かべ頷いてくれた。

片岡家を後にした3人は、あの橋の上から片岡家を振り返り、

心配そうに見つめた。

洋子がソファーに膝を抱え座っていると、犬のミルクが心配そうに寄り添う。

洋子がそっと手を差し出すと、洋子の手を甘噛みした。

優二は自分の部屋のベッドに座り、考え込んでいた。

翌朝。

「行ってきまーーす!」

いつものように子供達が元気に玄関で挨拶をする。

「亜希ちゃん。」洋子が子供達にゆっくり近づいて声をかける。

「可愛いね。」そう言い亜希の頭を撫でる洋子。

「うん!」

「でもそれだけじゃ生きていけねーんだぞ。」

「はーい!」

手を挙げて笑顔を見せる亜希に、洋子は微笑みながら頷いた。

「隼。」

名前を呼ばれて隼が一歩前に出る。

洋子は隼の園帽を外し、その頭を撫でる。

「大好きだよ。」

「やった!」

「お前はずーっとこの頭でいなさい。」

「大君。」

「はい?」

「大君はさ・・・いい男なんだよ。」

「え?」

「自信を持て。私は君のこと尊敬している。」

「どうしたんですか?愛さん。」

「優しくて変!」

「・・・よし!行ってこい!」

「行ってきまーす!」

「行ってらっしゃい。」

子供達を見送ると、優二がやってきた。

靴を履き、洋子の方を見ずに「じゃあ・・・」

そして洋子を少し見て、「行ってきます!」

「はい。行ってらっしゃい。」笑顔を浮かべる洋子。

「行ってきます。」優二も笑顔を浮かべて答えた。

優二の出て行ったドアを見つめる洋子の表情から笑みが消え・・・。

あの橋を歩く優二は、足を止め振り返り・・・。

そしてまた歩き出した。

「はぁ・・・。よし。」

家族を見送った洋子はため息をついたあと、部屋中の掃除を始める。

廊下の水拭きのあと、流しを丁寧に磨き上げる。

署の屋上で柳沼は優二に洋子の免許証を見せる。

「窃盗犯の押収品から出てきたんですが、

 彼女、全部捨てたみたいです。

 持ち物、全部。

 多分、自殺しようと、する前に。」

「そうか・・・。」

子供部屋の床を掃除しながら、ふと、ベッドに貼ってある隼の絵に

目が留まる。

それを見つめる洋子の瞳から涙がこぼれ・・・

洋子は泣きながら掃除を続けた。

「結局彼女、一人ぼっちなんですよ。

 家族もいないし、友人もいない。」

テーブルを拭き終わり、部屋を見渡す洋子。

ミルクが心配そうに洋子を見つめる。

「そんな顔すんなって。

 しょうがないじゃん。

 この家みたいな幸せは、私には似合わないんだからさ。

 じゃあね。」

5本並んだハブラシ。

洋子は覚悟を決めたように自分のをそこから抜いた。

門を出たあと、柱にかかった片岡家の表札を見つめる。

  ミルク 隼 亜希 大 優二  片岡

洋子は一礼し、そして片岡家を出ていった。



ファミレスで仕事する房子の姿を外から見つめ、洋子は

「ありがとう・・・。」とお礼を言った。

あの橋の上から片岡家のある方を振り返り・・・

そして洋子は去っていった。

=片岡家=

『お世話になりました

 本当にありがとう

 そして ごめんなさい』

洋子が残した手紙を見つめる優二。

「お父さん・・・。」と大。

「ねえ。愛ちゃんは?」と隼。

「愛ちゃんは?探さないの?」と亜希。

「・・・探さない。

 愛ちゃんな、もう大丈夫なんだ。」

優二の言葉を黙って聞く子供達。

「よし。じゃあ飯にするか。手ー洗ってこい。」

子供達は黙ったまま優二に従った。

優二は一人になるともう一度置き手紙を見つめた。

=竃=

優二は飯塚、柳沼、房子に洋子が出ていったことを話した。

「ちょっと待って下さい、片岡さん。

 何で、探さないんですか?何やってるんですか?」

優二はただ微笑むだけ。

「何、やってるんですか?」

「・・・探さない。」

「どうして?」房子が聞く。

「大丈夫だよ、彼女は。大丈夫だよ。

 大丈夫になったからさ、本当のこと言ったんだし。だろ?」

「それは・・・そうだけど・・でも。」と房子。

「大丈夫だよ、もう。」

「そっかぁ・・・」飯塚が呟く。

「ちょっと待てよ・・・。

 わかんないかなぁ!

 そりゃ、そうかもしれない。彼女はもう死んだりしないかもしれない。」

「ああ。」柳沼の言葉に相槌を打つ優二。

「でも彼女は、・・・愛さんは・・・片岡さんのこと好きなんですよ!

 それ、わかんないんですか?」

「・・何言ってんだよ。」優二が笑う。

「好きなんだよ!片岡さんのことがさ。

 だから・・・だから・・・本当のこと言ったんですよ。

 それなのに・・・なんでだよ。何で一人にするんだよ!

 何とか言えよ!」

柳沼は黙ったままの優二を思わず殴ってしまう。

「柳沼!」飯塚が間に入る。

「絶対、俺が見つけてみせますから!」

柳沼はそう言い店を出ていった。

殴られた場所をおしぼりで冷やしながら、優二は

「痛ぇな、あいつ。本気で殴りやがんの。なぁ!」と笑った。

「そっか・・・。どっか行っちゃったのか・・・。そっか。」と房子。

「寂しく・・・なりますね。」溝口店長(阿南健治)もそう呟いた。


洋子のいなくなった片岡家の食卓。

子供達も、優二も、洋子が座っていた席を見つめる。

支度を整えた4人は、玄関で

「行ってきまーーーす!」と大きな声で挨拶した。

「行ってらっしゃい。」

そう言ってくれる洋子がいない寂しさをかみ締めながら、子供達は

学校、保育園へ向う。

優二も振り返り、洋子のいない家を見つめる。

家の中ではミルクが寂しそうにお留守番。

バイト先で一緒に摘んだ花を見つめながら頬杖をつく房子。

当てもなく洋子を探して街中をさ迷う柳沼。

つい、洋子と似た髪形の女性に目が行ってしまう。

洋子のいなくなった片岡家は、まるで火が消えてしまったよう。

笑い声も消え、子供達は食欲もないようだ。

優二は1本減ったハブラシを、悲しそうに見つめていた。

=牧野医院=

牧野秀子(岸田今日子)が優二に聞く。

「帰ってこないの?彼女。」

「・・・うん。もう帰って来ないでしょう。10日になるもん。」

「そうか・・・。困ったな。」

「ん?」

「彼女がいた方が、元気だったから。あなた。」

「何言ってんの?

 そんなね、先生。医者が、非科学的なこと言っちゃダメ!」

「あら。ごめんなさい。

 でも、非科学的ついでに言うわね。

 私があなたに、あと半年で、命が消えてしまうだろうって伝えた。

 余命って言葉は嫌いだから、言わなかったけど。」

「うん。そうだよね。余った命じゃないものね。」

「でもね、人間の、体って、全部なんてわからないの。 

 わからないのよ。

 最近のあなた見てて、そう思った。

 あんな風に笑顔で暮らしていたら、奇跡だって起きるんじゃないかって。」

「奇跡!?」

その頃、柳沼は婦人警官の浜中ももこ(佐藤寛子)に洋子を探すいきさつを

話していた。

「好きなんですね、その人のこと。」

「うん。・・・片思いだけどね。」

「辛いですよね、片思い。」柳沼に片思いするももこが言う。

「・・・そうだね。」

「でも、悪くないですよね。」

「うん。そうだね。」

柳沼の笑顔はどこか晴れやかだった。

=片岡家=

「ねーお父さん。愛ちゃんは、いつ帰ってくるの?」

悲しげな子供達の様子に、優二も答えることが出来ない。

突然ミルクが吠え、玄関へと走っていく。

「あ!愛ちゃんだー!!」子供達がミルクを追って追いかけていく。

優二ももしや、と思い一緒に走り出す。

だが、そこにいたのはネコだった。

「なーんだ。ネコじゃん。」

「ミルク、びっくりさせんなよー。」

「しっかりしろよー。」

子供達に言われ、ミルク、しょぼーん。

優二はご飯と箸を持ったまま飛び出した自分に苦笑した。

車を走らせながら、洋子に似た女性にいちいち反応してしまう柳沼。

そんな柳沼をからかうように飯塚が顔を覗き込む。

「でもさー。結局ずーっといつも俺だけ蚊帳の外だったよねー。」

「え!?」

「いっつも俺だけ何にも知らないんだもんなー。」

「・・・すみません。」

「ま、いいけどさ。いつか見てろよーって感じ!」

飯塚はそう言い笑った。

房子と並んで橋の上を歩く優二。

「連絡、ない?愛ちゃん。」

「ないない。」

「そっか。」

「房子ちゃん。ありがとな。」

「何が?」

「彼女の、愛ちゃんのさ、味方になってやってくれててさ。

 ありがとな。」

「何それ!片岡さんに言われる筋合いないよ。

 私は、愛ちゃん好きだったもん。」

「そっか。」

「・・・ね、今なら言えるでしょ?本当の気持ち。」

「何だよ、それ。」

「ちょっと好きになってたでしょ、愛ちゃんのこと。」

「え!?」

「どうなの?」

「いや、どうかな・・・。

 でも・・・そうかもね。」

「えぇ!?じゃあ二人とも好きだったんじゃん!

 何で?何でそんな愛ちゃんを・・・

 かおりに悪いから?

 年の差あるから!?子供いるから!?」

「そういうんじゃなくってさ。」

「じゃあ何!」

「無理だよ、俺には・・・」

「だから、何で!」

「何ででも。

 だから・・・良かったんだよ、これで。」

優二の言葉に房子が膨れる。

「何だよ、その顔。」優二が笑う。

膨れたまま歩き出す房子。

「でもさ、不思議なんだけどさ、普通私だよ。」

「は!?」

「いやぁ、死んだ奥さんの妹とか、美人の友達とかっていうのはさ、

 定番だよ!

 絶対ドラマだと私だよ、片岡さんが好きになるの。」

「は!?」

房子が自分を指差して睨む。

優二は大笑い。房子も一緒に笑った。



留置場に放り込まれる女性・・・。それは、洋子だった。


優二を探しに飯塚が部署へ駆け込んできた。

優二は定時で帰ってしまったあとだったが、

「来たんだよ、ついにこの日が!

 俺しか知らないんだよ!俺しか!!

 すごくない!?すごくなぁい!?」

興奮気味にそう話す。

飯塚に呼ばれ、署の部屋で待つ柳沼、飯塚、そして優二。

そこへ飯塚がやって来た。みんなは少し迷惑そう。

「今ね、俺だけが知ってることがあるんだよね。俺だけが!」

三人に急かされ、飯塚がやっと説明を始める。

「昨夜、無銭飲食をした人が留置所に放り込まれてね。

 ここの裏にフランス料理屋があるだろ、あそこで。

 確信犯だね。ほとんど金持ってなかったらしいんだ。」

「何それ?」

「それがさ、・・・ああ、心配しないで。

 俺が店に行ってちゃんと話してきたから。 

 謝って、ちゃんとあとで払いますっていうことで。

 でさ、その人、ここに来てもらう。今手続きしてる。」

ドアがノックされ、婦人警官がその人物を連れてきた。

ドアを見つめる三人。だがその人物はなかなか入ってこない。

「ほら、行こう。ね、ね。」

飯塚に諭され、やっと入ってきたのは・・・

洋子だった。

3人に見つめられ、顔を背ける洋子。

「ちょっと!」房子がいきなり怒り出す。

「何やってんのよ、バカ!

 何なのよ、一体。素直じゃないんだからほんとに!

 家出した子供じゃないんだからね!

 帰りたいんでしょ、片岡さんの家に。帰りたいんでしょう?」

「あ、いや、房子ちゃん、そんなこと、」飯塚が口を挟む。

「わかるわよ!そんなの。わざとだもん!

 わざとだもん、絶対。

 うちの管内でさ、何かやってつかまれば、片岡さんに会えると思って、

 それでやったのよ、このバカ女は!」

三人が黙ったまま洋子を見つめる。房子が続ける。

「そうでしょ!何とか言いなさいよ! 

 片岡さんち出たんだって、この子はさ、

 自分には幸せ似合わないんだとか、そんな風に思ってさ、

 それでいなくなったのよ。

 そうでしょ!?そうなんでしょ!?

 いたいんでしょ?片岡さんと。

 大好きなんでしょ?一緒にいたいんでしょ?

 だったらそう言いなさいよ!!

 今言わなかったら、幸せなんか逃げちゃうんだからね!!

 自分で頑張らないと、幸せになんかなれないんだからね!!

 どうなのよ!!」

房子の言葉に涙をポロポロとこぼしながら、洋子が言う。

「・・・一緒にいたいです・・・。

 一緒にいたい・・・。

 いさせて下さい・・・。

 お願いします・・・。

 お願いします・・・。」

そう言うと洋子はその場に座り込み、そして泣き続けた。

「愛ちゃん・・・。」洋子の隣に座り、優二が言う。

「帰ろう。

 家に。」

優二は優しく微笑み、そして洋子を支え、立ち上がる。

「はい。」自分のハンカチを差し出す優二。

そんな二人を穏やかな表情で見つめる柳沼と飯塚。

「ふぇ〜ん!」突然二人に背を向け号泣する房子。

その様子に、優二も、洋子も思わず笑う。房子が振り返り

「可笑しくない!!」

そう怒ったあと、また背を向けて、子供のように号泣した。

洋子は涙をこぼしながら嬉しそうに優二を見つめた。

「ただいまー!」優二が子供達に言う。

「おかえりなさーい!」リビングから子供達が返事する。

「はい、ただいまー!」

「だから、お帰りなさい。」と亜希。

「ただい・・・ま。」洋子が遠慮がちに言う。

「だから、お帰りなさいって、言ってるでしょ!」隼が答える。

「・・・!!」

「愛さんだ!」

「愛ちゃんー!!」

「どこへ行ってたんですか?」

「寂しかったんだよ!」

口々に喜びを表現する子供達を見つめ、洋子はまた泣き出す。

「愛ちゃん、どうしたの?」

「おなか痛いの?」

洋子が首を振る。

「あのさ・・・愛ちゃん、でいいか?」優二が洋子に聞く。

「え!?」

「それとも・・・え〜っと・・・」

優二の言いたいことがわかった洋子は首を横に振る。

「わかった。よし。

 いいかみんな!愛ちゃんは、これからもずっと、愛ちゃんだぞー!」

「意味わかんない。」と子供達。

「だよな。ま、いいか。よし、じゃみんなで一緒にメシ作ろう!」

「カレーカレー!」

「今日は愛さんの好きなものだよ!」

「じゃーカレーカレー!」

洋子は幸せをかみ締めるように微笑んだ。

ソファーで眠った洋子を見つめ、笑顔で頷き、優二は部屋へと戻っていった。



洋子は目覚めると、テーブルの上にメモが残されていた。

『いってきます!

 優二・大・あき・しゅん』

そしてその隣にはオムレツ。

ケチャップで『あいちゃん』と書いてあった。

それを見つめ、洋子は幸せそうな微笑みを浮かべた。

買い物帰り、洋子は優二を見かけ声をかけようとするが、

優二の大きなため息をつく様子に声をかけそびれる。

優二が出てきた建物を見てみると、『牧野中央病院』と書いてある。

洋子は優二の背中を心配そうに見つめた。

謝辞(Special Thanks)

ストーリーのコンテンツ作成に当たり、ちーずさんが管理人をなさっている「どらま ・のーと」さんから部分的に(というよりも99%位)引用をさせていただきました。ほとんど完全なドラマの進行を作成・公開いただいたことに対し、ファンの一人として心からお礼申し上げます。


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